打鍵音ASMRアプリの選び方 — iPhoneで本物の打鍵音を楽しむ方法
YouTubeで「打鍵音」や「キーボード ASMR」と検索すると、何十分もの動画がずらりと並びます。潤滑したスイッチを一つずつ押していく動画、自作キーボードで文章を打ち続ける動画、コトコトという音だけを集めた動画。あの音が好きだけれどメカニカルキーボードは持っていない、あるいはソファやベッド、電車の中でも楽しみたい——そんなとき候補に挙がるのがiPhoneの打鍵音ASMRアプリです。
ただ、App Storeにある「キーボード音」「クリック音」系のアプリは、思った以上に中身が違います。この記事では打鍵音アプリを選ぶときのポイントと、Keycap Labがそれにどう取り組んだかをまとめました。
打鍵音が心地よく感じられる理由
ASMRは、特定の音を聞いたときに感じるリラックス感やゾクゾクする感覚を指す言葉です。誰もが感じるものではなく、研究もまだ多くないので、あくまで好みの話として捉えるのがよいでしょう。それでも、キーボードの音が多くの人に好まれる理由はいくつか考えられます。
- 短くて予測できる。 一回押すごとに小さな音がひとつ完結します。追いかけるメロディも、突然大きくなる音もありません。
- 自分が鳴らしている。 動画は見るだけですが、自分で押して音が返ってくると「押す→応える」というループが閉じます。
- 音に質感がある。 良いスイッチの音は「カチッ」の一音ではありません。軸が底に当たる音、キーキャップの響き、スプリングが戻る音が重なっています。この質感が、安っぽい電子音とコトコトした打鍵音を分けます。
打鍵音ASMRアプリを選ぶ5つのポイント
1. 合成音ではなく本物の録音か
いちばん大きな違いは音の出どころです。多くのアプリは合成したクリック音ひとつ、あるいは録音ひとつをすべてのキーで同じように鳴らしています。1分もすればメトロノームのように聞こえてきます。実際のキーボードを録音した音には押すたびの微妙な揺らぎが残っていて、ずっと「物理的」に感じられます。
どのスイッチを録音したのかを明かしているなら、それだけ手間をかけているサインです。青軸と茶軸がなぜこんなに違って聞こえるのかは、キーキャップの素材と音の違いで詳しく解説しています。
2. 音に合ったハプティクスがあるか
iPhoneのTaptic Engineは、短く硬い振動もやわらかい振動も出せます。振動が音とぴったり重なると、脳はそれをひとつの出来事として受け取り、「本当に押した」という感覚が生まれます。
3. いろいろな押し方ができるか
本物のキーボードは一つずつ押すだけではありません。指を転がすように複数のキーをなぞったり、二つ同時に押したりします。マルチタッチやなぞり操作に対応したアプリのほうが、ずっと飽きにくいです。
4. 広告が流れを止めないか
多くのクリック系アプリがここでつまずきます。気持ちを落ち着けたくて開いたのに、30秒後に大音量の全画面広告が流れたら台無しです。
5. オフラインで、登録なしで使えるか
打鍵音アプリを開くのは、電車や飛行機の中、寝る前のベッドが多いはずです。開いたらすぐ使えるべきですし、音のおもちゃにメールアドレスは必要ありません。
Keycap Labのつくり
Keycap Labは、机の上に並んだやわらかな3Dキーキャップを、押したり、なぞったり、同時に押したりして遊ぶアプリです。押すたびに、そのキーキャップの素材に合わせた本物のメカニカルキーボードの録音が、ハプティクスと小さなエフェクトと一緒に再生されます。
- 18種類の素材、それぞれ違う音。 Cream、Bubble、Candy、Mech、Glass、Dome、Wood、Jelly、Ice、Ceramic、Honey、Ruby、Felt、Slate、Ember、Frost、Volt、Neon。Emberは押すたびに小さな炎、Frostは霜の結晶、Voltは小さな稲妻が現れ、Neonは押すたびに色を変えて光ります(ピンク→シアン→ライム→パープル)。
- 一部の素材は録音したスイッチを公開。 IceはCherry MX Blue(青軸・クリッキー)、CandyはCherry MX Clear、GlassはHako Violet、FeltはKeychron K7 ProのGateron Brownロープロファイル、SlateはCherry MX Brown(茶軸)です。
- 38の隠れたリアクション。 同じキーを素早く5回連打する、長押しする、一列をなぞる、いくつか同時に押す……組み合わせによって特別なリアクションが起こります。見つけたものはコレクションに記録され、いつでも再生できます。
- 自分だけのパッド。 3×3の9マスを好きな素材で埋めて、画像カードとしてシェアできます。
- 無料・広告なし・アカウント不要・オフライン対応。 パッドや記録は端末内に保存されます。iPhoneとiPadで使え、VoiceOverにも対応しています。
アプリは日本語に対応しているので、端末の言語が日本語ならそのまま日本語で使えます。素材ごとの音はこちらのショート動画で聴けます。
もっと心地よく聴くコツ
- イヤホンを使う。 スマホのスピーカーは低音をほとんど削ってしまいますが、コトコトした「重み」は低音にあります。普通のイヤホンでも違いは大きいです。
- ハプティクスをオンに。 マナーモードでも、振動だけでかなりの手応えが伝わります。
- 素材を混ぜる。 重めのSlateの隣に澄んだGlassを置いて指を転がすと、その対比自体が楽しくなります。
- 短く使う。 作業の合間に数分、くらいがちょうどいい使い方です。
アプリはメカニカルキーボードの代わりになる?
正直に言えば、代わりにはなりません。キーストローク、筐体の重み、指先に伝わるタクタイルの引っかかりは画面では再現できないからです。そのかわり、音と「押した感じ」をポケットに入れて持ち歩けます。キーボードを買う前に、青軸や茶軸の音を聴き比べる用途にも意外と役立ちます。手を動かして気分を切り替えたいときは、指遊び・暇つぶし向けのフィジェットアプリの選び方も参考にしてください。